有道しゃくし

有道(うとう)しゃくし

 岐阜県高山市久々野町は、平成17年2月に、高山市など周辺市町村と合併し、新しく高山市となり、今後は観光都市飛騨高山の南の玄関口として発展することが期待されている。
 その久々野町の東部に位置する有道地区には・有道しゃくし・と呼ばれる木杓子が伝わっている。随筆家白州正子氏の「日月抄」では・杓子の中の王者・と紹介され、その歴史は古く江戸時代に、地区の寺院や神社を建築した大工の庄五郎が京都へ働きに行ったいた折に習得し、有道地区に伝えたものというのが定説となっている。奥深い山間地での厳しい生活の中で、貴重な現金収入を得るために昭和の戦後まで生産されていた。しかし、その後、昭和四十二年の有道地区全戸離村を境に、人々と共に有道しゃくしも久々野町から姿を消した。

失われた技術をいま現在に

 時は流れ、平成十三年、久々野町で生まれた伝統工芸品が消滅してしまうことを危惧する町民によって「有道しゃくし保存会」が結成され、現在五人の会員が技術の伝承と保存に努めている。また、平成十六年十月には久々野町指定無形民俗文化財に指定された。

気配りの効く杓子

 杓子の材料は主に朴の木である。材質が比較的柔らかく、素朴な色合いを持つ白木で、乾燥しても形が変わらないので、刀の鞘や下駄などにも使われる。工程は鉈で荒どりし、それを出刃包丁で形成し、最後にすくう部分をしゃくしかんな(すくいのみとも呼ばれる)という独特の湾曲した刃物でえぐりとる。
 有道しゃくしの大きな特徴は、継ぎ目のない一本の材料で作るため丈夫であること。またすくう部分に波上の・彫り・を残すため、煮物などをすくったとき、滑ることなく器に盛ることができること。そして木の柔らかさにより、混ぜる際に具を崩さず、鍋やフライパンを傷つけることなく調理ができるなど、いろいろ気配りの効く生活用具である。

問い合わせ

有道しゃくし保存会 会長 清水眞
岐阜県高山市久々野町久々野166番地4
電話 0577―52―2017
有道しゃくし
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